本、映画、演劇、美術、テレビドラマにラジオといろんな文化に触れたい好奇心。 コカコーラ片手にぱーぱーお喋りしています。しばらくおつきあいのほど願ってまいります。

AM1:00-3:00

茅ヶ崎のゆとりがコカコーラ片手にラジオのような独り語り

チャリパンクして、ギターを覚える

 

どうもこんばんは。

 

風が吹けば桶屋が儲かるなんてことをいう。

私はこの言葉を聞くとラーメンズを思い出さずにはいられない。

ラーメンズ『ALICE』より「風と桶に関する幾つかの考察」 - YouTube

 

通勤に自転車を使っていると気持ちいい季節がやってきた。烏帽子岩に背を向けて江ノ島へ、海沿いを走ると潮風が気持ちいい。 

 

ただ、厄介なのはパンクだ。

海岸沿いの道は凹凸が大きく、ただでさえパンクしやすい。そこにきて、時間ギリギリに家を出る私のルーズさと、定期的に空気を入れる手間さえも惜しむ私のズボラさが相まってパンクの用意は整う。

 

先日は江ノ島デニーズの前あたりでパンクした。職場まであと数メートル。自転車だと1分でも、歩くと3分になる。案の定、2分半遅刻した。定刻出勤の計算が合わない。

 

その日は電車で茅ヶ崎まで帰り、パンク修理は次の日に。茅ヶ崎駅から我が家までの20分間、仕事帰りに家路を歩くと、いろんなことを考える。コンビニで安いアイスコーヒーを買う。ラジオも聞かず、頭の中に独り言を並べて、海に向かって歩いて帰った。

 

江ノ島 自転車 修理」で検索して、江ノ電江ノ島駅近くに自転車屋さんがあることを見つけた。

早速、パンクして重たくなった自転車を押しながら向かった。颯爽と漕いでいる時は気持ちいい陽射しが、押している時には贖罪のように苦しい。

 

ガラスの扉を開けて中から出てきたのは30代半ばくらいの男性だった。

事情を説明し、状態を診てもらうと、私が手入れを怠っていることや、前カゴに重たい荷物を乗せることなどを的確に指摘していった。なんだか掴みどころのない、やる気のなさそうな印象が一瞬で翻って、私はすっかりこの人に信頼を寄せてしまった。

 

どういう人を信頼するか。それはどういう人と関係を築くかと言うことと等しい。

私は直感を信じる人を信頼することが多い。直感を信じる人というのは、信じた自分自身に責任を持てる人なのだ。だからこそ、自分の直感で行動を起こすのだ。そこに失敗した場合など想定されていない。失敗したとしても、その責任を自分でリカバリーする能力を自負しているのだ。

 

先に順番待ちをしている自転車があって、私は自転車が直るまでの1時間ほどの時間を近くのタリーズでコーヒーを飲みながら待った。

 

きれいに直った自転車のどこにどのように手を加えたのか、それを維持するのにどういう手入れが必要かと、丁寧に説明をしてくれた。

店内には自転車のパーツらしきガラクタとギターが散乱していた。店内が丸見えのガラス張りの壁には自転車の修理を宣伝するチラシとギターレッスンの生徒を募集するチラシが同じくらいの枚数貼りつけてある。

 

「ギター教えてもらえるんですか?」

私は去年の在宅無職中に買ったっきり、ほとんどいじっていないギターが飾ってあったことを思い出したのだ。

「まぁ、そうですね。一通り弾けるようには教えますよ。プロとかになるのは難しいですけどね」

私はジャズが演りたくて買ったギターの話をした。すると、ジャズギター史を簡易的に教えてもらい、参考音源やセッションに参加できるようになるまでのプロセスなんかを説明してもらった。

その口調にやはり自信を感じて、その場でお願いすることにした。

十回で21600円。一回2160円。時間は特に決まっておらず、日程も自由。内容も自由。

変な音楽教室に通うよりもよっぽどリーズナブルだ。

「一回、どんなギターか持ってきてくださいよ。調整しますから」

 

翌日、出勤前にギターを持参した。ケースから出したギターを一回転させて、中古品で、前の人がどれくらい使い込んで、手を入れているのか、を大体見抜いた。メルカリで買ったもので、そこまで説明書きもなかったので、真意は分からないが、確信した口調はやはり信頼できる気がした。

 

そういうわけで、私は毎週ギターレッスンを受けることになった。

自転車がパンクしたおかげで、ギターを覚えることになった。

風が吹いて桶屋が儲かった。

 

良心的なレッスンについて聞いてみた。

「ビジネスでやってないから適当でいいんですよ。一緒に遊んでくれる人が出来たら、音楽に飽きないじゃないですか」

 

まずはFのコードを押さえるられるようになるところから。人差し指が痛い。

チャーリークリスチャンには程遠すぎる。いや、そんな名手はおこがましいやな、それよりも自転車屋さんと遊べるようになりたい。

 

では、こりゃまた失礼いたしました。