再現出来ない味
どうもこんにちは。
何事にかけても、世の中はなんのといってやっぱり再現性である。
例えば、テレビドラマや映画のような映像作品。
彼からのアングルと彼女からのアングル、二人を中心にしたアングル、と3つのカット割りのシーンがあるとする。
役者はそれぞれ同じ演技を3回しなくてはいけない。
1回目は右手で掻き分けた髪を2回目では、左で掻き分けるなんてことがあると編集がややこしい。
かといって、役者のほうで同じ演技をしても、さっき出ていた太陽が今は陰っているなんてことも困るわけである。
私も今、同じことで頭を悩ませる。
といっても、何も役者になろうとしているわけではない。
私のほうで頭を抱えているのは珈琲の焙煎である。
珈琲の焙煎の再現というのは慣れるまで、かなり難しい。
時間と温度を棒グラフに記録しながら、焙煎を進め、味を確認する。
すぐに同じ量の同じ豆を、そのグラフを再現するように火加減を調整して、焼いていく。
これが同じようにグラフをなぞって火加減しているのに、味が同じになるとは限らない。
よく分からん、といつもさじを投げてしまう。
前と何が違ったのか、原因を考えてもう一度焼いてみる。
喫茶店で珈琲を飲んでも同じことはままある。
よく行かせてもらう喫茶店がいくつかあって、大抵、どこに行っても同じものを淹れてもらう。しかし、毎回同じものが出てくるわけではない。
珈琲の味を決めるのは蒸らしのタイミングだと私は考えているので、珈琲の抽出はその都度の湿度が味の決め手になっているのでは、とふんでいる。
それ以外にも、その日のマスターの様子や気候、焙煎からどれくらい時間が経った豆を使っているか、など珈琲の味を決める要素は色々だ。
それらを加味して、毎度同じ味を再現するのはまず不可能だ。
だから、きっと同じ味だと思っても、実は微妙に違うなんてこともあるのだと思う。
そこを珈琲の奥深さと楽しんでいたが、いざ、それを仕事にしようとしてみるとなかなかに厄介だったりした。
では、こりゃまた失礼いたしました。