本、映画、演劇、美術、テレビドラマにラジオといろんな文化に触れたい好奇心。 コカコーラ片手にぱーぱーお喋りしています。しばらくおつきあいのほど願ってまいります。

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茅ヶ崎のゆとりがコカコーラ片手にラジオのような独り語り

誰かに本を選ぶ

 

どうもこんにちは。

 

最近、周りから本を薦められたり、貸して欲しいとお願いされることが度々あった。

こういう時、書斎の本棚を眺めながら、目に入った本を手当たり次第に手に取る。持ちきれなくなったくらい抱えたら、机に並べて、そこからまた4、5冊くらいに絞っていく。あまり貸す人のことを考えたりせず、その時の私の感覚の方が優っていたりするので、貸された当人にとってベストの選書かどうかは難しい。

 

でも、人に本を薦めてもらう、貸してもらうというのは、自分の読みたいものを読むというよりも、自分では一人では立ち入らないだろう森に入り込んでみることだと思うので、つまらなければつまらないで、いいと思う。むしろ、「この作家の作品は人生で一度だけ、あいつに薦められたから読んでみたっきりだな」という経験をしてもらえるのなら、誉でもある。

 

先日も春からの進学先が決まった学生に時間のあるうちに本を読みたいと、選書をお願いされた。

その時に書いた紹介文を選書の内容と一緒に紹介しようかと思う。

 

〇〇(学生)さん
 
お疲れ様です。
本当はお貸しした時に直接、言いたかったんだけど、私が何度も持って行き忘れてしまったが故に、このような形で失礼します。本当にごめんね…
 
お貸しした本について、ちょっとだけ
 
教養の書』(戸田山和久
名前が大袈裟なだけに緊張しそうな一冊ですが、中身は口語体で、読みやすく、しかも、引用や例が非常にわかりやすいので、さほど難しくないと思います。
この本はなんで勉強するのか? と言うことがほとんどメインです。そして、そのための勉強方法について書かれています。
前々から、私にはある疑問がありました。
今更、ドイツ語や哲学、芸術など、こんなものを私が勉強して一体何になるのだろう?
ドイツ語が出来たことで、〇〇(職場)の仕事に役立つわけでも(本当のことを言えば、一度だけ、英語が喋れないドイツ人を接客したことがありますが)ないし、給料が上がるわけでもないのに、何で勉強しているのか、何が楽しいのか、不思議でした。 
 この本を読んで、私のやっていることに少し合点がいったような気がします。
 おそらく、それはなあなたが大学に入って勉強することの意味にも近しいと思います。それに、大学で勉強することが楽しみになるのではないかと思います。
 
「知の技法」入門』(小林康夫大澤真幸
 こちらの方が前述の本に比べて幾分、難しくなると思います。というか、既にこの本の内容が理解できていたら、もう大学で勉強することはないでしょう、と言うくらいの内容です。
 この本の内容を理解するのは難しいかもしれませんが、この本に出てくる固有名詞、exサルトルハイデガードゥルーズ=ガタリ(これはドゥルーズさんとガタリさんと言う二人のことをまとめて指しています)、デリダ、などは知っておくとだけでもいいと思います。
 大学の教授の中にはこの手の話を知ってる前提で授業する人も少なくありません。しかも、厄介なことに実存主義から構造主義ポストモダニズムという現代思想の流れは意外と多くの学問分野に顔を覗かせてきます。
 時間があるなら、少しゆっくり読んでみてください。
 
あとかた (新潮文庫)』(千早茜
 割と気軽に読める短編集です。何でこの本を選んだのか、正直わかりません。書斎の本棚を眺め、20冊くらい手にして、ペラペラとそれらのページをめくりながら、1冊、また1冊と本棚に戻していったら、これが残っていました。そしたら次の日、著者の千早茜さんが直木賞を受賞されていたので、こういうこともあるもんだな、なんて思っています。
 そういえば、この本を買ったときも、そんなふうでした。
 本屋で20冊くらい手にして、流石にこりゃ買すぎだと、半分くらい戻したら、なぜかこの本が残っていました。表紙に惹かれた本だったような気もします。
 
愛の夢とか (講談社文庫)』(川上未映子
 私が思うに、著者の川上未映子さんは、今の日本で一番美しい日本語を使う作家の一人だと思います。長編だと読み疲れるかと思い、短編にしてみました。行間にある、言語化されていない景色や感情を読者に託すようなそんな文体です。
 特に「日曜日はどこへ」が私は一番好きです。
 
これ以外にも本当は、ミステリー系も好きだと言っていたので、ドナルド・ウエストレイクやジェフリー・アーチャーレイモンド・チャンドラーとかも候補に入れたのですが、好きなジャンルだったら、そのうち自分でも見つけるかもしれないと思い、今回はちょっと違ったジャンルから選んでみました。
 もし、読み終わって(無理に全部読む必要もないんだけどね)、時間があったら、この辺にジャンルの名手たちもお貸ししますので、言ってください。
 
 では、ちょっとだけと言いつつ、こんなに長々と、シフト中の私みたいに喋りすぎましたが、無理せず、気負わず(本当に、せっかく借りたから、読まなきゃなんて思わないでね)、楽しんで読んでください。
 
〇〇(私)

 

別の方から本のおすすめをお願いされているので、これからまた、本棚に向かってみる。

 

では、こりゃまた失礼いたしました。