ミュージカルの勝手な持論 〜メリーポピンズリターズ〜
どうもこんばんは。
先日、レイトショーで「メリーポピンズ リターンズ」を観る。
ミュージカルは脳みそをぽかーんと空っぽにしていれば、自然とウキウキして、ワクワクして、心踊らしてくれる。変に硬くなって芸術性の高い映画を観るよりもいい時もある。
映画でも観ようとたまたま時間が合ったのが、この映画だっただけで最初はさほど気乗りしなかった。寝ちゃったらしょうがないくらいに思っていたのだが、「巴里のアメリカ人」を思わせるような薄暗く湿った空をジャックが自転車で走り抜けていくオープニングで気分は一転、深く座った座席から腰をズラして、前かがみになる。自然と左足のかかとが上下し、テンポを刻む。
ミュージカルの一番いい見方だと私は思っている。別に私が思うだけで押し付けたりはしません。
そんなに期待をせず席について、オープニングで心を奪われ世界に入り込む。
音楽がよかった。帰りに思わずダウンロードするくらい。
何がよかったって、ちゃんとメリーポピンズが帰ってきてるのだ。新曲の書き下ろしなのに帰ってきてるのだ。つまり、前作1965年の音楽様式が採用されている。あの当時なかったロックやフィージョン、テクノと言った現代的な音楽は使われず、オーソドックスな当時の作風が守られている。そこに、メリーポピンズのお帰りを思わせる。
そして、アニメーションとのコラボ。メリーポピンズと子供達が割れた壺の中へ入り込む。アニメーション化された壺の中の世界観。まさにこれこそディズニー映画。最近のディズニー映画はアニメーションがやけにリアルで、歌わず、踊らず。そんなものは他の会社にやらせておけばいい。
というは私の中だけの独り言。
ミュージカルのストーリーなんて30字で語れるもので十分だ。
これも私の持論。
歌と踊りに心奪われている人間に小難しいストーリーはいらない。
だいたいそんなものは歌で統合出来ないではないか。そんなストーリーにレチタティーヴォ的な歌が入る隙がないではないか。
ケンカしていたカップルが歌を歌い、仲直りをする。歌がケンカ中と仲直り後のストーリーをつなぎ、統合している「統合ナンバー」と感情の昂りを表現する「レチタティーヴォ的ナンバー」とに分かれる。
この作品で言えば、日取りが悪いと壺を直してくれないトプシーのところで、歌を歌うことで逆さになったら直せると発想させる時のナンバー「ひっくりカメ」は統合ナンバーだと言える。
バンクス父が借金に取り立てられ、亡き妻の喪失を深く思う時に歌うナンバー「君はどこへ」は喪失感の昂りを歌うレチタティーヴォ的ナンバーだ。
前者があるとミュージカルらしくなる。後者だけだとどちらかというとオペラっぽくなる。
なんてこと知ろうが知るまいがどうでもいい。
そんなこと考えずに、サントラ聞くだけでも楽しい。
メリー・ポピンズ リターンズ (オリジナル・サウンドトラック / デラックス盤)
- アーティスト: ヴァリアス・アーティスト
- 出版社/メーカー: Walt Disney Records
- 発売日: 2019/01/30
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ちなみに私が一番好きなミュージカルは「ウエストサイドストーリー」
バーンスタインの音楽が最高だ。こんなに楽しくなって、こんなに悲しくさせる音楽はない。
ミュージカル史的に言ってもここからミュージカルは大きく変わる。最高であるレニーの音楽がミュージカルの内包的崩壊につながると言われているのだが、これもどうでもいい話。
色々書いたが、これからこの作品を観ようという人は、今読んだ一切を忘れてしまうことを勧める。
なんせミュージカルの一番いい見方は、期待せずに脳みそにぽかーんとさせてしまうことだ。
押し付けないと言っておきながら、少々押し付けがましいか…。
日頃のうさは忘れてしまうことだ。ポカーンとした脳みそを愉快な音楽が揺らせば、そこからは製作陣とキャストがどうにかしてくれる。自然に任せて体を揺らすだけだ。
では、こりゃまた失礼いたしました。