本、映画、演劇、美術、テレビドラマにラジオといろんな文化に触れたい好奇心。 コカコーラ片手にぱーぱーお喋りしています。しばらくおつきあいのほど願ってまいります。

AM1:00-3:00

茅ヶ崎のゆとりがコカコーラ片手にラジオのような独り語り

私の好きなもの100のルーツ#3「サウナ」

 

どうもこんにちは。

 

私が好きなものをあげ連ねてなんで好きになったかを思い出す企画。

初回、前回でサザンとコーラについて書いてみたら、思った以上に長くて、次を書く気になれなかった。誰に頼まれたわけでもないのだから、書く気にならないならば書く必要もないんだろうけど、自分で決めたことほど、人に言われたことよりもやらなければいけない気がする。

 

手帳に箇条書きで並べた私の好きなもののうち、すんなりかけそうなものを選んで見た結果、今日はサウナについて思い出すことにしていみた。

最近、サウナがちょっとしたブームらしく、専用のグッズが出ていたり、雑誌やテレビで特集されている。去年だかはドラマにまでなっていた。こんなこというと、後出しでずるいのだろうけど、私はこのブームの前からサウナに通っている。それだけは最初に言っておきましょう。

 

週二回、休みの日の朝5時過ぎに生島さんを聞きながら、うちを出る。いつもいくスーパー銭湯までは自転車で15分くらい。

こんな時勢になる前は休みの前日の夜、仕事終わりに通っていたのだが、どこも早い時間に閉まってしまうので、思い切って早い時間から通うことにしたら、これが非常にいい。

朝から二時間たっぷり入っても8時前には出ることが出来て、帰りに喫茶店のモーニングを食べて、本読んで帰ってきても、まだラジオは伊集院さんの時間なのだ。

 

大学に入学して、入ったサークルはオチケン、落語研究会

自分で言うのもなんだけど、学生の割には落語に詳しかったし、何よりも上手かった。本当に自分で言うもんじゃないね。

見学の時に4年生に「どの話が好きなの?」と聞かれて「三木助の芝浜です」と答えた私は相当尖っていたことでしょう。「芝浜は知ってるけど、その話は初めて聞いた」と答えた先輩の落語を面白いと思ったことは、一回もない。「いや、芝浜です。先代の三木助の演る芝浜が好きなんです」と補足した私。今でいえば、落語マウントで先輩を大きく引き離したが、それと同じだけ、その時部室にいた全部員との距離も引き離した。

いつのまにかテーマがサウナから三木助に変わったんじゃないかと思われた方は、ちょっとはやとちり。その勇足をもう一度土俵の中へ。

落語は知っていて、上手いのに、先輩に可愛がられない。それでも、変わらない私の態度。当然、部内で浮く私。それはそれで別によかったんだけど、気にかけてくれた先輩が一人だけいた。早い話がその先輩がお風呂が好きだったのだ。

 

授業の合間なんかに、もっともその先輩にとって合間なだけで私にしてみれば最中であったわけだけれども、よく一駅先にある銭湯に連れて行ってもらった。

「次の寄席でこの噺をやろうと思う」

と相談をされれば、

「それなら先代の文楽師匠の十八番ですよ」

とアドバイスしたり、

「最近、誰の落語見に行ったの?」

と聞かれるので、

「何某師匠の独演会で、あの噺をかけてるの聞きました」

と最初は私の昨今の落語の話から始めて、次第に、最近私が読んだ本、観た映画や舞台、受けた授業の話なんかに広がっていく。アメリカンミュージカルをテーマにした授業で聞いた「ウエストサイドストーリー」の音楽の素晴らしさの話を始める頃になると、私たちはお湯に浸かってられなくなって、湯船の縁に座って足首だけをつけておく。その足首が赤い分だけ、私の話がその先輩にハマった証拠だった。

先輩は私の話を聞くのが好きだったらしい。次第に、その先輩が興味を持ちそうな話題にアンテナを張るようになり、芸人さんのネタ番組は落とすことなく観るようになった。その習慣は今もなんとなく続いている。

毎週のように銭湯で足首を赤くしても、飽きることなく私の話を聞いて、質問を投げかけてきた。

「お前、しゃべるとそんなにいろんなことに興味があって面白いのに、他のやつと話さないよな。もったいない。」

このセリフが湯ぶねから上がって、サウナに向かう合図だった。

 

そもそも下戸であるし、大勢が集まっての飲み会や合宿には興味がなかったが、その先輩に誘われてしまえばいくしかない。

参加の意思を示すと、同期の人間すら驚くくらい私の参加は稀有だった。半年以上所属していたサークルなのに、半分以上の人間と口を聞いたことがなかった。落語を演る時以外、このサークルに私の居場所はなかった。

そんな具合だから、飲み会が始まっても、特に誰と話すわけでもない。そんなことよりも、ここに来る前に買った小林賢太郎さんの本が早く読みたくて仕方がない。

少し経つと、ビールのジョッキを持った例の先輩が隣に来るように私を呼んだ。

「なんだっけ、お前がこの間言ってた『あまちゃん』のジオラマの話」と、前に銭湯で話したドラマの話を振ってきた。

前にしたのと同じように、観光協会の会長が仕事をサボって作っていたジオラマが震災を表現するシーンで巧みに使われていたことに感動した話をした。

熱量は銭湯の時の方があったと思う。私の周りを囲んだのは先輩以外は全く話したことがない人たちだった。そんな人たちが私の話をえらく楽しそうに聞いている。そして、関心している。

話をしていく中で、その中のある人はテレビ業界を志望しているらしく、テレビ局や制作会社を中心に面接を受けている就活生だった。そう言う人からすると、私の観ているもの、読んでいるものの幅が広いらしく、また、それに対しての感想だったりが面白かったらしい。その後も最近見たバラエティの話や、映画の話を矢継ぎ早にあれは見たか、これは見たかと質問された。そして、私が感想を答えるたびに深くうなづいた。

 

それから、浮いていた存在感はだんだん地に着いてきて、いつの頃からか私はご意見番みたいな立ち位置にいた。私に落語の稽古をつけてほしいと言いにくる先輩もいたし、次に演る根多の相談に来る人もいた。落語をやらずに漫才やコントを中心にやっているような人からもネタを観てほしいと呼ばれた。

あの頃は忖度なんて言葉は知らなかったが、忖度せずに面白くないと言った。今思えば、生意気だった。それでも私が言うならば、と言う空気があったのだ。今でいえば、フワちゃんのタメ口みたいなものだろう。

新ドラマの頃になると、テレビ業界を志望している人からドトールに呼ばれて、今期は何が注目なのかとあれこれ話したりした。

 

テーマがサウナから落研時代になったのか?と思われても仕方ない。今回はあなたの勇足じゃなさそうだ。

サウナの話に戻ろう。

要するに、そうやってサークル内で、居場所を作るきっかけになった先輩に連れらたことが私がサウナに通い始めるきっかけになったと言うことなのだ。

 

そんなことをきっかけに足繁くサウナに通うようになった。

噂に聞く聖地、静岡の「サウナしきじ」に二時間以上電車を乗り継いで行ってみたり、どこか旅行に行こうものなら、その土地でサウナを探す。深夜バスで京都に向かった時も朝一番にサウナに入った。思いつきで行ったUSJの前にも何はともあれサウナを探した。

 

気持ちのいいサウナは美味しい唐揚げの火入れ加減と同じだ。

高温でカラッと揚げた方が油の切れもよく、美味しく揚がる。しかし、表面と中では火が入るのに時間差がある。中まで火が入るときには表面はカチカチになってしまう。

なので、表面に火が入った頃に油から一度上げて、余熱で中に火を入れていく。少し置いたところで、もう一度油の中へ。こうして、表面と中とバランスよく火を入れると最高の火入れ具合の唐揚げが仕上がる。

 

まずは体を洗って、炭酸泉に浸かる。温度が低めだが、炭酸の効能で15分も入っているとうっすら汗をかいてくる。いきなりサウナに入るとその高温のせいで、体の中まで温まらずに我慢できなくなる。体が芯まで温まらないと、この後の水風呂が気持ち良くない。だから、まず炭酸泉で余熱を入れていく。

炭酸泉の効能で血流の巡りをよくして、ポカポカしてきたとこでようやく一セット目。

一セット目は大体サウナに10分前後入る。短い時間でも汗がガンガンに溢れてくる。

スマホが見れるわけでもない、本が読めるわけでもない。ただ、熱さとだけ向き合う時間はサウナでしか経験できない。こんなときに熱さから逃げて、備え付けのテレビを見ている人の気がしれない。

一セット目はそんなに負荷をかけずにサウナをでて、水風呂に入る。その前にマナーとして、汗を流すのは当然として、私は必ず頭から水を浴びる。サウナから出ては、なるべく早く、急いで、頭から一気に水を、そのことしか考えない。

汗を流したところで、水風呂に思いっきりに肩まで浸かる。決して、潜ったりはしない。たまに隣で潜っているおじさんがいると信じられない。

身動きせずにじっとしていると、いわゆる「羽衣」と言われる温かい水の層に包まれる。私は羽衣を感じたら、思いきっり体を振ってこれを破る。そして、もう一度、羽衣ができた頃に水風呂を後にして、体をよく拭いて外気浴に。

待ってました、外気浴。この時間が一番気持ちいい。頭が空っぽになって、何も考えられない。東海道線をいく電車のガタゴトを聞きながら、体に当たる風が気持ちいい。この状態を「整う」と最初に表現した人は本当に上手いこと言う。私から私が飛んでいって、体だけの状態になる。何も考えられない。デカルトはサウナの後の外気浴で例の口説き文句を思いついたんじゃないかろうか。別に誰も口説いてないよ。

そうしているうちに、どこかに行ってしまった我が帰ってきたら、水分をしっかり摂ってから二セット目に。もちろん、二セット目のサウナの前にはまた炭酸泉で一度揚げしておく。

1時間前後の時間をかけて、二セットか三セット繰り返して入る。

 

以上が私の好きなサウナの話。

 

これを書き出す前の私よ、何がすんなり書けそうだ。結構な量を書いたじゃないか。

ここまで読んだ人なんかいなんだろうな。

 

では、こりゃまた失礼いたしました。