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茅ヶ崎のゆとりがコカコーラ片手にラジオのような独り語り

弾丸0泊深夜バス旅ー京都編ー 第三部

 

どうもこんばんは。

丁度一週間前、思いつきの深夜バスで行った京都旅の続きです。

3回目だというのに、やっとバスから降りたところです。なかなか進まない旅だこと。

弾丸0泊深夜バス旅 ー京都編ー 第一部 - AM1:00-3:00

弾丸0泊深夜バス旅 ー京都編ー 第二部 - AM1:00-3:00

よければ、こちらの過去の記事からどうぞ。

 

26日6時半。薄暗いバスの中で調べた京都駅近くのサウナ、サウナベルデクラブへ。

サウナ・仮眠施設・公衆浴場が京都駅からなんと徒歩1分

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調べていたサイトの明るさとは打って変わって、恐ろしく古いビルの中にあった。とにかく古い。

エレベーターに乗り込む。ジーっというモーター音がイヤホンのサカナクション越しに聞こえてくる。明け方のサカナクションとモーター音がうねらす不協和音。これが京都なのか、という不安がどことなく漂う。フロントの眠たげなおじさんにお金を払って、ロッカールームへ。

エレベーターのモーター音に続いて、ロッカールームに響き渡る流水音。音の多い建物だこと。天井の壁が剥がされて、剥き出しになった排水管。その排水管から漏れる水がロッカーの上のバケツに注がれる。いや、漏れるとか滴るとかいうレベルではない。もう注がれている音量だ。バケツの容量はあれで大丈夫だろうか?

まるで歌舞伎町の雑貨ビルの一角。抗争に敗れた任侠の事務所。いや、歌舞伎町に対する大きな偏見で、行ったこともないんだが。まさに想像するあれだった。

 

全裸になって階段を上がって浴場へ。

大きなお風呂と小さいお風呂、それに水風呂というシンプルな作り。シャワーのヘッドがなかったり、鏡にヒビが入っていたりとエレベーターからの期待を裏切らないオンボロな洗い場が並んでいる。どの洗い場にも必ず欠陥があるのではないかと思われる。ちなみに私が使ったのは、シャワーからお湯を出しているのに蛇口からも1/3くらいのお湯が流れているという種類の欠陥だった。シャワーの水圧2/3という強さは6時間深夜バスに揺られた私にはちょど良かった。

体も洗ったところで、まずは肩までお湯に浸かりたいと、大きなお風呂へ右足を入れた瞬間、その熱さは脳まで届かず、脊髄で反射した。そのお湯が熱いのなんの。ちょっと熱いなんてもんじゃない。どんなに頑張っても、我慢しても入れる温度じゃない。あれが京都のはんなり温度なのかい?とんでもない洗礼を受けた気がした。

恐る恐る小さいお風呂に足を入れてみる。こちらも熱いが、先程の大きい熱さに比べれば、頑張れば入れる温度だ。腰まで浸かってみる。肩までもうちょい、頑張れ、と気持ちを震わせてみるが、いや、お風呂って頑張るもんじゃねぇな、と気づいてしまいすぐ上がる。温度を確認しようにも、どこにもお湯の温度を知らせる温度計がない。

 

お風呂に入ることは諦めて、本題のサウナへ。

気持ちを切り替える。サウナに入りにきたんですからね、肝心なのはサウナですよ、エレベーターやロッカールーム、お風呂なんざどうでも良いんですよ、と落語「うなぎの幇間」の鰻屋で騙される太鼓持ちの心持ちだ。

肝心のサウナは温度と湿度が丁度良かった。これだこれだ、と気持ちを落ちつける。分厚いガラスの向こうのテレビでは朝のワイドショーが便利家電の特集をしている。好みのゆで卵がスイッチ一つでできてしまう家電に、アナウンサーはじめ、出演者が驚いている。卵なんかタンパク質の凝固温度60から65℃の温度で加減すれば、いくらでもできるだろ、なんて悪態をついていると、体から汗が滲んでくる。サウナというところは時間の軸が歪むようで、12分で1時間が巡る。なぜだか必ず12分計がどこにでもある。それがいくら探してみてもここにはない。12分計のないサウナは初めてだった。仕方がないのでさっき悪態をついた家電特集の左上を目安に時間を測ることに。

およそ12分経ったところで、水風呂へ。この水風呂が良かった。最高に良かった。

ここまでいかにここが古いかということにかなりの比重を置いて、目につく短所ばかりを書いてきたが、ここにきてその負債を返しても十分にお釣りが来るくらい素晴らしい水風呂だった。何が素晴らしいってその深さだ。立った時に水かさがへそ下5センチくらいの深さまである。こんなに深い水風呂は初めてだった。千鳥の大悟さんは「ブリは薄けりゃ薄いほど美味い」という名言を残したが、それに倣った「水風呂は深けりゃ深いほど整う」というものがある。本当にあるのか知らんが、少なくてもこの水風呂に入った時に私が作った。

 

サウナと最高の水風呂を繰り返すこと3往復。気持ちよく整う。正確にはこれが整おうというのなら、整ったという感じだ。

さっぱりしたまま休憩室へ。ここもまた、ホコリくさく、蛍光灯のいくつかが切れて点滅し、無造作に並べられた随分昔の漫画。この感じが、なぜだか落ちつく。ガタガタ揺れるソファで朝食が食べれる喫茶店を探す。8時半に受付で下駄箱の鍵を受け取り、モーター音が轟くエレベーターでビルを下る。

 

8時半ごろ。すっかり気温は夏の様をしている。

サウナベルデクラブから歩いて、10分くらいのところに見つけた喫茶店「MIWAKU」へ。

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昔ながらの雑多な喫茶店という店構えから好印象。気ままな一人旅のまったりした朝にはこれだよ、これこれと、一人旅の勝手な設定に浸りながら、お店へ。

案内された窓側の席へ。ブレンドコーヒーとホットドッグのセットを注文。

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サンダルをつっかけて新聞を片手に店員さんと世間話をしている常連のおじさん。真新しそうなスーツを着て、手帳に何やら書き込んでいる男性。地元に愛されてる感じが伝わってくる。

カップに半分残ったコーヒーをすすりながら、お供の本を開く。カツセマサヒコさんの「明け方の若者たち (幻冬舎単行本)」だ。主人公とその思い出の人との眩しい時間にジンとする。

さて、区切りのいいところで本にしおりをは挟んで、先ほど立てた予定を軽く確認する。京都駅付近でレンタル自転車があるらしいのでそれを借りることに決めて、貸し出し場所に向かって会計をする。

 

と、その前にこの日は給料日の翌日。

家賃やら生命保険やらの引き落としがあるので、引き落とし用の口座への入金を済ませなければならない。こんな日でも二つの銀行を行き来せねばならないのだ。茅ヶ崎ならば行き慣れた二銀行間も初めての地では右往左往。イレギュラーな1日に水を差すかのように日常が差し込まれる。

そんな雑務をすまして、自転車を借りたところでやっと弾丸京都観光が始まる。

 

10時を回った頃には太陽がギンギンに照らす。

これからさらに暑くなるという京都の街に自転車を走らす。

 

やっと京都旅らしい話になるのだが、随分と長く書いたので今日のところはここまで。

 

では、こりゃまた失礼いたしました。