監獄のお姫さま
どうもこんにちは。
もう天気の話はこりごりですね。
長崎じゃなくたって今日も雨だった。
今日は書こうね。
そう、「監獄のお姫さま」について。
放送後、ちょっとネットをのぞいて見ると、視聴率が伸び悩むんだとか。
そもそも、私は「あまちゃん」までクドカンが視聴率を伸ばしているのを見たことがない(こう言っちゃ失礼だけど)し、「あまちゃん」のシナリオブックの中でも、キョンキョンがクドカンのことを「視聴率に恵まれない」とはっきり書いている。
こんなにアプリとか録画機能が進化した今、リアルタイムの視聴率にさほどの意味もなかろうに。
それに、なんてたって面白いもんは面白い。
今作も面白い。私は自信を持って言う。
クドカン×キョンキョンのタッグはNHKの朝ドラ「あまちゃん」が記憶に新しいが、やはりTBSと言うと「マンハッタンラブストーリー」が真っ先に浮かぶ。
テレビ局の向かいにある今時珍しい純喫茶マンハッタンを舞台にマスターと常連テレビ関係者が織りなすラブコメ。
キョンキョンはこの作品でタクシー運転手のヒロインを演じている。
ちなむと、今作登場の森下愛子さんは落ち目に悩む恋多きベテラン脚本家を、塚本高史さんはバンド活動(ちなむにちなむと、このバンドには若き日の星野源が参加している)をしている実は訳あり純喫茶マンハッタンのバイトを演じている。
まあ、そんなところも後でもう少し掘り下げよう。
まず、今作の特徴は「時間軸」にあると思う。
クドカン作品は常に何かの対比で描かれることが多く、例えば、「あまちゃん」なら『都会⇄田舎』、「タイガー&ドラゴン」だと『笑い⇄ヤクザ』、「木更津キャッツアイ」や直近の監督作品の映画「TOO YOUNG TO DIE!」では『生⇄死』、ちょっと変わり種だと「吾輩は主婦である」では『主婦⇄文豪』も。この対比の中でコミカルな展開が生まれている。
その中でも、ところどころ目につくのが『過去⇄現在』の対比。
先に挙げた「あまちゃん」でも『過去⇄現在』は春子(キョンキョン)とユイちゃん(橋本愛)を重ね合わせてあぶり出されている。
それ以外にも「ごめんね青春」は本筋が過去と現在をめぐるストーリーだし、時間軸という点おいては、過去でなく未来で見ると、「未来講師めぐる」は『現在⇄未来』の対比が見て取れる。
そして、今作でも時間軸の対比はかなり明確で、印象的なセリフが
ずうずうしいんですよ、犯罪者って
時間巻き戻せると思ってるんです
刑務所のことタイムマシンか何かだと思ってるんです
出てきたら犯した罪までチャラになると思ってるんです
という元看守役の満島ひかりさんのセリフ。
このシーンでは満島さんが伊勢谷さんにあげたおにぎりを、口をつけたのを見計らって返すように求める。もう戻らないおにぎりを前に「時間は戻らないこと」を強調している。
なんだか「カルテット」の唐揚げのレモンを思い起こす。
私はこのシーンを満島さんだから書いてんじゃないかと推察してるけど。
そして、時間軸でいうと、冒頭。
繰り返される「サンデージャポン」のオープニング。
なんども繰り返されるサンジャポのオープニングは夢から覚めるごとにシーンが少しづつ延びていき、その度にフラッシュバックする過去のシーン。
やっぱり時間軸がキーになってるみたい。
次話からはそれぞれの女囚たちが刑務所に入所する過去と現在が刑務所内での群像劇を通して描かれることだろう。
ますます『過去⇄現在』中心になってくるんだろうね。
ただ、パンパンと小気味いい会話のテンポ感とガツンと来る強烈なキャラがちょっと弱いような。
ショッピングモールでお茶するキョンキョン、坂井さん、森下さん3人がキョンキョンの新しいあだ名を考えるところとかはいいテンポだけど。
最後はなんと言ってもパロディ。
クドカン作品ではその時その時のものパロディとして書いて笑わせることが多い。
今までいろんなパロディがいろんな作品で描かれてきたが、今作では、過去のクドカンのパロディが多い気がする。
例えば、キョンキョンと坂井真紀さんが子供を誘拐するシーン。
二人は、子供が好きな戦隊ものに変装している。
これって「マンハッタンラブストーリー」のコスモレンジャーじゃないかと。
「私、変態なんです」の名言を生んだコスモレンジャーだ。(わからない方は是非、「マンハッタンラブストーリー」みてください)
あとは名前。
足立明美、馬場カヨ、勝田千夏、大門洋子、江戸川しのぶ、古井ふたば、と頭文字を取るとABCDEFとアルファベット順になっている。
これについて、クドカンは自身のラジオで偶然と述べているが、過去にクドカンがこの仕掛けで面白いどんでん返しを起こしたのがまたまた「マンハッタンラブストーリー」だ。
サンジャポ冒頭で太田さんがいう「じぇじぇじぇ」は流行語大賞を取った「あまちゃん」の代名詞とも言えるセリフ。まあ、これは太田さんのアドリブかもしれないけど。
こんな感じに過去作を思い起こさせるくだりがちらりほらりと。
『過去⇄現在』を中心に据え置いた設定の中で、クドカン自身の『過去⇄現在』がところどころ見え隠れしてくるのではないかと次回にもワクワクが止まらない。
というなんでもない感想でした。
長かったね、ここまで。
読んでいただいた皆様ご苦労様です。そして、書いた私も。
では、こりゃまた失礼いたしました。