『往復書簡 初恋と不倫』
どうもこんにちは。
連日暑い日が続きますね。
こう暑いとコーラが美味しいのよ。
夏最高ね。ありがてぇやな。
今日は昨日読み終わった坂元裕二さんの『往復書簡 初恋と不倫』の読了ノートから。
坂元裕二さんは私が今更説明するまでもない、人気脚本家さんですね。
代表作には『東京ラブストーリー』『問題のあるレストラン』『カルテット』『最高の離婚』と、ほんの一部を挙げただけでもこんなに面白いドラマがズラリと。
代表作には入りませんが、個人的に好きな彼の作品に『モザイクジャパン』というWOWOWの5話完結の連ドラもあります。
設定がアダルトビデオ業界なのでちょっとそういうシーンも多いですが、中身は結構深く濃いドラマです。
また、高橋一生さんのカリスマ的狂気の熱演も見どころです。
彼の作品の魅力は「会話」だと思います。
クドカンのようなテンポと小ネタで笑わせるような会話でも、山田太一のように人生の節々でハッと考えさせられて深い会話でもありません。
ちょっと不条理でナンセンス会話、成立しているのかいないのかもやっとする会話、長方体の対角線のように、決して交わることはないのに見る角度によって交わっているように見える会話。
あの地面から数センチ浮遊したような会話を私の拙い語彙力ではここまでしか表現できません。
でも、そんな内実が掴めそうで掴めない会話が物語を進めていくんです。
うまく伝わってますか?
もし、もっと上手に伝えられる人いらしたら、ぜひ教えてください。
そんな彼が書いた小説が『往復書簡 初恋と不倫』です。
初恋はいつでも甘酸っぱいく切なく、一生ものっていう固定概念みたいものがありますよね。
きっと私たちはそうだと信じて初恋をしたから、今もその思い出に刹那的になるんだと思います。
今、「あなたの初恋のどこが刹那的ですか?」と聞かれて答えられる人はどれくらいいるのでしょうか?
この物語に出てくる玉埜広志と三崎明希はきっと答えられると思います。
デパートの屋上で手を繋いだだけの思い出が、大人になって再会しないのに、1人のバス運転手を介してより深い想いにはまっていく二人。
あ、こういう初恋が甘酸っぱい初恋なんだってちょっとだけ悲しくなりました。
私の初恋はただの初めてってだけでなんの変哲もない恋だったんだなって。
二人が徐々に深みにはまっていくきっかけは本当になんでもないことです。
例えば日本史教師のスリッパの裏にくっついていたコンドームの袋の思い出とか。
そういうくだらないことで人間は打ち解けて関係を進めるんですね。
そこには本当に意味なんかないんです。
じゃあ、何るんでしょうね。
そこまで坂元さんは書き出してくれません。
不倫っていうと、前にも少しだけ書きましたが、私にはまだ全然分かっていません。
ただ、この作品の不倫はまた違うというか、せっかくちょっとまとまってきたのに、余計な要素を入れてきやがってって感じですかね(笑)
生きていればいろんな要素がいろんなように絡んできますから、恋愛なら恋愛だけに、仕事なら仕事だけにとセパレイトしてなんて生きていられません。
過去のことも未来のことも絡みます。
男と女も絡みます。
ひっちゃかめっちゃかです。
失踪した妻とその不倫相手とその奥さんと、これだけでごちゃごちゃにかき混ぜられてます。
そこに世間の目とかお金とか絡めばもう分かんなくなって諦めたくなりますよ。諦めて諦めても諦めなきゃいけなくなりますよ。
何を諦めたくなるんでしょうね。
やっぱりそこまで坂元さんは書き出してはくれていません。
これを酒井若菜さんと高橋一生さんで朗読劇でやったんだそうです。
ぜひ、観に行きたかった。
悔やまれますね。
読み終わった瞬間に言葉にしてはいけないような感情を感じました。
言葉にしようとすれば、言葉の有限性に狂わされるような気がします。
出来ないんです。
これは『カルテット』の唐揚げのレモンの時に感じたものと同じような違うような…
すごいですよ。
「悲しい」を何千何万にも分けたうちの一つを克明に書き出されたようで、そこに私たちの自覚はないので、新しく抱く感情にポカーンとするしかありません。
新しい感情にポカーンとしたい方、ぜひ読んでみてください。
では、こりゃまた失礼いたしました。